初めてお勤めしたところが真珠を扱っていたこともあって、
真珠にはかなり思い入れが…というとなんだか昔から真珠が大好きと
思われるかもしれませんが、実はジュエリーの業界に入るときに
「一番好きじゃないものを扱う会社」を選んで入社したのです。
幼いころからジュエリーが特にダイヤモンドが大好きだったので、
お給料分ジュエリーを買ってしまいそうな気がして…。
やっぱり入社して半年たつころには真珠の魅力に目覚めたので、
ダイヤモンドの次に真珠というまでになってしまったのですけれど。
年明け早々、何年かぶりに宇和島の真珠養殖場へ行ってきました。
当日は朝から快晴!私はかなりの雨女なのでとても不安でした。
宇和島の海沿いはたくさんの養殖業者さんがいらっしゃるので、
筏もたくさん浮いていてこんな風景がずっと続きます。
道路からでも魚やウニが見えるほど海の水が澄んでいてとてもキレイ。
地元の方が仰るには昔に比べると水が汚れてきているんだそうです。
今回見学させていただいた養殖場は厳選した親貝からの孵化→稚貝→母貝育成と
全てを自社で行い、南洋の白蝶貝・黒蝶貝の真珠養殖にもノウハウを提供しておられます。
私に真珠を分けてくださっている業者さんのお兄様なのですが、とても博識な方で
品質へのこだわりや環境問題まで色んなお話をうかがうことが出来ました。
こちらの真珠は全て『越物』と呼ばれる2年以上真珠貝の中で育ち、
漂白を最低限に抑えた(光触媒だそうです)テリの美しいものばかり。
『当年物』と呼ばれる、核を入れて一年(半年という短期間のものも!)の
真珠とは比べ物にならない美しさなのです。
これは普通のアコヤ貝よりも美しい真珠層を持つ“ベニアコヤ”貝。
こちらの養殖場では“ベニアコヤ”貝の外套膜(がいとうまく=ヒモの部分)を
核と一緒に入れることでより美しい真珠を作ることに成功したんだそうです。
右から貝殻を真円に削った核、『破れ』と呼ばれる核が露出したもの、
この珠は『越物』ですが、巻きが薄い『当年物』の『破れ』はこういうものが多く、
『越物』は真珠層が何層にもなるので『破れ』ても下に真珠層が見られます。
最近よく耳にする『無調色』真珠ですが、真珠に着いた染みや色むらを消す
『漂白』処理に使う溶剤が強いと真珠のテリも失われてしまいます。
上の写真は貝から出てきたまんまの何も処理されていない真珠たち
『越物』なのはもちろんですが、テリの美しさを見ていただけるでしょうか?
真珠って本当はこんなに美しいものなのです!…長くなりすぎたので続きます。